英文の秘密保持契約の解説⑬ 秘密情報に関する権利の留保について

      2017/06/21

 

今回は、「秘密情報に関する権利の留保」について解説します。

 

日本語の条文は、以下のようなものです。

 

秘密情報は、情報開示者の排他的な財産である。本契約に定められている場合を除き、秘密情報を使用するために、秘密情報に関する何らの権利も情報受領者に許諾、移転または付与されるとは解釈されない

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秘密情報は、開示当事者の排他的な財産のままである

 

まず、前半部分の「秘密情報は、情報開示者の排他的な財産である」について見ていきます。

 

主語である「秘密情報」=the Confidential Information

 

動詞は、日本語を形式的に見ると、「~である」なので、be動詞であるisが来るようにも思えます。

 

しかし、この条文では、情報開示者が秘密情報を受領者に渡しても、秘密情報という財産は情報開示者に「帰属したままである」ということを定めたいのです。

 

よって、「依然として・・・のままである」を意味するremainが使われます。

 

そして、「排他的な財産」ですが、ここでいう「排他的」とは、「情報開示者のみの財産である」という意味になります。つまり、この「排他的」という言葉を使うことで、「情報受領者の財産ではないのはもちろん、情報受領者との共有でもない」という点を明確にすることになります。

 

英語では、exclusive propertyと書きます。

 

exclusiveは、ライセンス契約における使用許諾のところでも出てきますし、MOUMemorandum of Understanding)の中で、「第三者と組まないこと」ということを定める際にも出てきます。また、liquidated damages(予定された損害賠償額)のところでは、sole and exclusive remedy(唯一の排他的な救済)という形でも使われますので、覚えておくと便利です。

 

ちなみに、このexclusive propertyは、sole propertyと定められている契約書もよく見かけます。

 

「情報開示者単独の財産」という意味なので、こちらを用いても良いでしょう。

 

以上から、秘密情報は、情報開示者の排他的な財産である」は、次のように書きことができます。

 

The Confidential Information remains the Disclosing Party’s exclusive (またはsole) property.

 

 

情報受領者には、何らの権利も与えられない

 

次に、後半部分の「本契約に定められている場合を除き、秘密情報を使用するために、秘密情報に関する何らの権利もライセンスその他の方法により、情報受領者に許諾、移転または付与されるとは解釈されない」という条文について解説します。

 

まず、この条文の主語は何でしょうか?

 

日本語を形式的に見ると、何が主語なのか判然としませんね。

 

そこで動詞を見ると、これは、「~とは解釈されない」です。

 

「解釈される」のは何かというと、「本契約の条文」でしょう。

 

つまり、日本語上は明記されていないものの、この条文の主語は、「本契約の条文」になります。

 

そしてここでは、「本契約のどの条文も~とは解釈されない」となるので、主語に否定の文言が来るのが通常です。

 

結局、nothing in this Agreementとか、nothing contained in this Agreementが主語として定められることが多いです。

 

そして動詞である「~として解釈される」は、is construed as…となります。

 

主語と動詞をまとめると、nothing contained in this Agreement is construed as…となります。

 

次に、「秘密情報を使用するために、秘密情報に関する何らの権利も、ライセンスその他の方法により、許諾、移転または付与される」の部分を見ていきます。

 

「秘密情報を使用するために」は、

to use the Confidential Information

in order to use the Confidential Information

と書けますね。

 

次に、「許諾、移転、または付与」について見ていきます。

 

「許諾」は、granting (grant

 

「移転」は、transferring (transfer

 

「付与」は、conferring (confer

 

と書くことができます。

 

そして、「ライセンスその他の方法により」とは、「手段」を表しているので、byを用いて、

 

by license or otherwiseと書くことができます。

 

その他の方法」としてのor otherwiseは英文契約全般でよく出てくる表現なので、覚えておきましょう。

 

まとめると、秘密情報を使用するために、秘密情報に関する何らの権利も、ライセンスその他の方法により、許諾、移転または付与される」の部分は、次のようになります。

 

granting, transferring or conferring, by license or otherwise, any right to use the Confidential Information to the Receiving Party

 

最後に、「本契約に定められている場合を除き」の部分について見ていきます。

 

「~を除き」は、exceptを使います。

 

そして、「本契約に定められている」は、「~に定められている」を意味するprovidedset forth inspecified等のどれかを使って、

 

provided in/set forth in/specified in this Agreementとなります。

 

よって、「本契約に定められている場合を除き」とは、

 

except as provided in this Agreement (except as provided herein)と書くことができます。

 

以上から、本契約に定められている場合を除き、秘密情報に関する何らの権利もライセンスその他の方法により、情報受領者に許諾、移転または付与されるとは解釈されない」は、次のようになります。

 

Nothing contained in this Agreement is construed as granting, transferring, or conferring, by license or otherwise, any right to use the Confidential Information to the Receiving Party except as provided in this Agreement.

 

 

穴埋め式で練習

 

では、ここでも、穴埋め式で練習しておきましょう。

 

問題:

The Confidential Information [remains] the Disclosing Party’s [exclusive] property. And [nothing] contained in this Agreement is [construed] as granting, [transferring], or conferring, by license or [otherwise], any right to use the Confidential Information [except] as provided in this Agreement.

 

 

訳:

秘密情報は、情報開示者の排他的な財産である。本契約に定められている場合を除き、秘密情報を使用するために、秘密情報に関する何らの権利も情報受領者に許諾、移転または付与されるとは解釈されない。

 

 

回答:

The Confidential Information [remains] the Disclosing Party’s [exclusive] property. And [nothing] contained in this Agreement is [construed] as granting, [transferring], or conferring, by license or [otherwise], any right to use the Confidential Information [except] as provided in this Agreement.

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英文の秘密保持契約の解説の目次

英文の秘密保持契約の解説①~サクッと全体像をつかむ!~

英文の秘密保持契約の解説②~秘密情報の秘密の保護と管理について~

英文の秘密保持契約の解説③~秘密情報に関する保証・権利・返還について~

英文の秘密保持契約の解説④~秘密保持契約の有効期間について~

英文の秘密保持契約の解説⑤~「秘密の保持」について~

英文の秘密保持契約の解説⑥~「第三者への開示の禁止」について~

英文の秘密保持契約の解説⑦~「目的外使用の禁止」について~

英文の秘密保持契約の解説⑧~受領した秘密情報を開示してよい範囲はどこまで?(その①)~

英文の秘密保持契約の解説⑨~受領した秘密情報を開示してよい範囲はどこまで?(その②)~

英文の秘密保持契約の解説⑩ 情報受領者の情報管理義務について

英文の秘密保持契約の解説⑪ 情報開示者による差止請求

英文の秘密保持契約の解説⑫ 秘密情報の「現状渡し」と「無保証」について

英文の秘密保持契約の解説⑬ 秘密情報に関する権利の留保について

英文の秘密保持契約の解説⑭ 秘密情報の返却・破棄について

英文の秘密保持契約の解説⑮ 秘密保持契約における定義条項について

 

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