英文の秘密保持契約の解説⑫ 秘密情報の「現状渡し」と「無保証」について

      2020/01/28

 

今回は、「情報開示者は、秘密情報について何らの保証もしない」という点についての英語の条文の解説をします。

nda%e2%91%a6 日本語で言うと、次のような条文になります。

 

情報開示者は、秘密情報を「現状渡し」で提供し、秘密情報の第三者への権利侵害がないこと、正確性、完全性、または性能について、明示、黙示その他を問わず、何らの保証もしない」

 

 

現状渡し

 

まず、前半部分である「情報開示者は、秘密情報を「現状渡し」で提供し」について見ていきます。

 

主語である「情報開示者」=the Disclosing Partyですね。

 

次に、動詞である「提供し」は、provideと書くことができます。

 

ここで、「(秘密情報を)提供する」とは、「(秘密情報を)開示する」ということでもあるので、discloseと書いてもよいでしょう。

 

目的語である「秘密情報」=the Confidential Information

 

では、「現状渡し」はどう書くのでしょうか?

 

これは、どこかで聞いたことがあるかもしれません。

 

“AS IS”と書きます。

 

「あるがまま」という意味です。

 

「傷んだ物・商品などがそのままで、手を加えないで」という意味で使われます。

 

例文としては、次のようなものがあります。

 

We usually buy a car as is.

 

以上から、「情報開示者は、秘密情報を「現状渡し」で提供し」とは、次のように書くことができます。

 

The Disclosing Party provides (またはdiscloses) the Confidential Information “AS IS”.

 

もっとも、私がこれまで見てきたこのAS ISに関するこの条文は、次のように、「秘密情報」が主語になっている物が圧倒的に多いです。

 

The Confidential Information is provided (またはdisclosed) by the Disclosing Party “AS IS”.

 

 

無保証について

 

次に、「(情報開示者は)秘密情報の第三者への権利侵害がないこと、正確性、完全性、または性能について、明示、黙示その他を問わず、何らの保証もしない」という条文について見てみましょう。

 

主語=the Disclosing Party

 

動詞は、「保証をしない」ですね。

 

ここで保証とは、warrantyという単語を使います。

 

そして、「保証をする」とは、make warrantyと書くことができます。

 

ここでは、「何らの保証もしない」ということなので、

 

does not make any warranty

 

と書けなくもないのですが、通常は、

 

make no warranties

 

と書かれているものが多いです。

 

さらに、「明示、黙示、その他を問わず保証しない」とあります。

 

明示とは、express

 

黙示とは、implied

 

その他とは、or otherwise

 

と書くことができます。

 

つまり、

 

makes no warranties, express, implied, or otherwiseとなります。

 

 

権利侵害がないこと、正確性、完全性または性能についての無保証

 

次に、この条文では、保証しない事項の具体例として、「第三者の権利侵害をしないこと、正確性、完全性、または性能」を挙げた上で、「明示、黙示、その他何らの保証もしない」と定めていますので、この「具体的に保証しないものの中味」を英語にしていきます。

 

まず、「第三者への権利侵害をしないこと」とは、秘密情報による「第三者の持つ知的財産権への侵害をしないこと」を指しています。

 

これは、non-infringement of third party rightと書くことができます。

 

ここで使ったinfringementとは、「侵害」を意味し、これの否定形なので、non-infringementとなります。

 

次に、「正確性、完全性、または性能」は、the accuracy, completeness, or performanceと書くことができます。

 

このthe accuracy, completeness, or performanceとは、秘密保持契約以外でもよく出てくる言葉なので、覚えておくと便利です。

 

以上から、「(情報開示者は)秘密情報の第三者への権利侵害がないこと、正確性、完全性、または性能について、明示、黙示その他を問わず、何らの保証もしない」は、次のように書くことができます。

 

The Disclosing Party makes no warranties, express, implied, or otherwise, regarding non-infringement of third party right or the accuracy, completeness, or performance of the Confidential Information.

 

 

よって、情報開示者は、秘密情報を「現状渡し」で提供し、秘密情報の第三者への権利侵害がないこと、正確性、完全性、または性能について、明示、黙示その他を問わず、何らの保証もしない」は、次のようになります。

 

The Confidential Information is provided by the Disclosing Party “AS IS” and the Disclosing Party makes no warranties, express, implied, or otherwise, regarding non-infringement of third party right or the accuracy, completeness, or performance of the Confidential Information.

 

 

マメ知識(AS ISと無保証の関係)

 

AS ISであるということは、つまり、何らの保証もしない、という意味だから、あえて、その後に、makes no warrantiesと書く必要はないのでないか?」

 

こんな風に思った方もいるのではないでしょうか。

 

私も最初、そう思いました。

 

しかし、実はこれには理由があります。

 

AS ISは、「現状あるがまま」渡すという意味ですが、「何らの保証もしない」という意味ではないのです。

 

AS ISと書くだけだと、「現状あるがまま」の状態から通常予想されるその物についての「明示の保証」は残っていることになるそうです。

 

そのため、完全に何らの保証もしないことにするために、その点も明記するのが一般的な扱いとされているようです。

 

 

穴埋め式で練習

 

では、最後に、穴埋め式で練習しておきましょう。

 

問題:

The Confidential Information is [provided] by the Disclosing Party “[AS] [IS]” and the Disclosing Party [makes] no warranties, express, [implied], or [otherwise], regarding [non-infringement] of third party right or the [accuracy], completeness, or performance of the Confidential Information.

 

訳:

情報開示者は、秘密情報を「現状渡し」で提供し、秘密情報の第三者への権利侵害、正確性、完全性、または性能について、明示、黙示その他を問わず、何らの保証もしない

 

回答:

The Confidential Information is [provided] by the Disclosing Party “[AS] [IS]” and the Disclosing Party [makes] no warranties, express, [implied], or [otherwise], regarding [non-infringement] of third party right or the [accuracy], completeness, or performance of the Confidential Information.

その理由はこちらに詳しく記載しました。

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英文の秘密保持契約の解説の目次

サクッと全体像をつかむ 秘密の保護と管理 保証・権利・返還
有効期間 「秘密の保持」 第三者への開示禁止
目的外使用の禁止 開示してよい範囲(その①) 開示してよい範囲(その②)
情報管理義務 差し止め請求 「現状渡し」と「無保証」
権利の留保 返還・破棄 定義条項

 

 

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