Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!

英文の秘密保持契約の解説⑧~受領した秘密情報を開示してよい範囲はどこまで?(その①)~

      2017/06/21

 

前回までの内容はしっかり理解できましたか?

 

今回のテーマは、「受領した秘密情報を開示してよい範囲」についての話です。

 

実は、今回扱うテーマは、秘密保持契約を検討する際に、最も修正する回数が多いところなのではないかと個人的には思っていますので、しっかり解説したいと思います!

 

 

日本語で次のような条文が、今回扱う対象です。

 

「情報受領者は、(i)本契約に定められた目的を果たすために秘密情報を知る必要があり、かつ(ii)本契約に定められた秘密保持義務以上の秘密保持を契約書またはその他のものによって義務付けられた、自社の取締役、執行役、従業員、外部の財務・法律アドバイザーに対して、秘密情報を開示することができる。」

 

 

既にお話ししたように、相手方から与えられた秘密情報は、第三者に勝手に開示してはいけません。

 

では、自分の社内であれば、誰にでも開示してよいのかというと、そうではありません。

 

「え!社内ならよいでしょう?なんでダメなの?」

 

と思われる人もいるでしょうか?

 

秘密情報は、とにかく、「漏れないようにすること」がもっとも大事なんです。

 

そのため、例え社内であろうとも、「その秘密情報を使う必要がある人以外への開示は禁止する」とされているのが通常です。

 

つまり、「秘密保持契約中に定められた目的を遂行するために秘密情報の内容を知る必要のある人」で、かつ、「開示された秘密情報を秘密にすることを義務付けられた人」にのみ、開示してよい、という扱いになっているのが通常の秘密保持契約です。

 

上記の下線部の「開示された秘密情報を秘密にすることを義務付けられた人」という点については、通常は、会社に入社する際に、従業員全員が、包括的な秘密保持に関する誓約書を提出していることが多いでしょう。

 

または、もっと厳重に、個別の案件ごとに秘密保持の誓約書を会社に提出することもあるかと思います。

 

では、以下の日本語の条文に相当する英文を考えていきたいと思います。

 

「情報受領者は、(i)本契約に定められた目的を果たすために秘密情報を知る必要があり、かつ(ii)本契約に定められた秘密保持義務以上の秘密保持を契約書またはその他のものによって義務付けられた、自社の取締役、執行役、従業員、外部の財務・法律アドバイザーに対して、秘密情報を開示することができる。」

 

 

権利・裁量について

 

まず、この条文全体の動詞は、「開示することができる」ということなので、「権利」または「裁量」ですね。

 

ここで、厳密に言うと、「権利」と「裁量」は異なります。

 

権利も裁量も、日本語では、どちらも、「~することができる」と訳すことができます。

 

しかし、「権利」は、相手方当事者が義務を負うものであるのに対し、「裁量」は、相手方当事者の義務を伴いません

 

つまり、「裁量」は、「したいならしてもいいけど、俺(相手方当事者)は何もしないよ」といった感じです。

 

では、今扱っている条文の「秘密情報を取締役等に開示することができる」というのは、情報受領者にとって、「権利」と「裁量」のどちらなのでしょう?

 

私は、ここは「裁量」ではないかと思っています。

 

なぜなら、情報受領者が自社の取締役等に対して秘密情報を開示する行為によって、情報開示者は何らの義務も負わないからです。

 

だから、「裁量」じゃないかと思うんです。

 

ここで、英文契約において「裁量」を表す助動詞は、mayなので、「情報受領者は秘密情報を開示することができる」という英文は、次のようになります。

 

The Receiving Party may disclose the Confidential Information to…

 

ここで、「え?「裁量」か「権利」かなんて、わざわざ考える必要あるの?」と思われた人が多いかと思います。

 

考える必要は・・・人によります!(何それ?)

 

多少マニアックで、しかもあまり実益のない話になりますが、「英文契約を極めたい!」という方にとっては意味があると思うので、以下、ご説明します。

 

一応、英文契約では、「権利」を表すために使う助動詞はmayとされています。

 

一方で、英文契約では、「権利」はbe entitled toを使うこともできます。

 

つまり、「権利」を表すためには、mayもbe entitled toのどちらでもよいわけです。

 

そして、「裁量」を表すためにもmayが使われる・・・。

 

となると、「権利」の場合でも、「裁量」の場合でも、mayを使えばいいだけです。

 

be entitled toは、相手方がドラフトした英文契約中に出てきたときに「権利だ!」とわかればよいでしょう。

 

しかし、自分が英文契約をドラフトする際に、次のように使い分けて書くこともできますよね。

 

「権利」の場合には、be entitled toを使う。

「裁量」の場合には、mayを使う。

 

そうすれば、自分がドラフトした英文契約を、確認のためや交渉中に読んでいる際に、mayが出てきたら、その瞬間に、その条文は相手方当事者の義務を伴わない「裁量」だ!とわかり、be entitled toが出てきた瞬間に、「権利」だ!とわかるわけです。

 

be entitled toとmayを使い分けるメリットはこれだけです。

 

「そんなのどうでもいいわ!だって、権利だろうが、裁量だろうが、実際その区別をつける意味が出ることないだろう?しかも、条文全体を見れば、権利なのか裁量なのかくらい判断できるし!!」

 

はい。おっしゃる通りです。意味ないです。完全な趣味の世界です。

 

なので、一応解説させていただきましたが、英文契約を読む際に、これが「裁量」で、これは「権利」で、なんていちいち区別して考えなくてよいと思います。

 

もう全部「~できる」=「権利・裁量」、よって、「英語ではmayで書こう!」でよいと思います。

 

ただ、私は、明確に「権利」だと判断がつくものについては、be entitled toで書き、「裁量」だと思うものについては、mayを使って書きたいと思います。

 

ちなみに、「可能性」を表す場合にはmayではなく、mightを使うようにすれば、「権利」「裁量」「可能性」という、全てmayと書けばよいものでも、きれいに区別して、be entitled to、may、mightと書くことができます。

 

上記は、「細かいことが大好きです!」という方だけ、参考にしていただければと思います。

 

 

 

では、話は戻りますが、「情報受領者は、秘密情報を開示することができる」は、英語では次のようになります。

 

The Receiving Party may disclose the Confidential Information to…

 

 

取締役、執行役、従業員、外部の財務・法務アドバイザーについて

 

次に、秘密情報を開示する対象である「その取締役、執行役、従業員、外部の財務・法務アドバイザー」についてです。

 

これは、

取締役→director

執行役→officer

従業員→employee

外部の財務・法務アドバイザー→external financial or legal advisor

です。

 

よって、「情報受領者は、秘密情報をその取締役、執行役、従業員、外部の財務・法務アドバイザーに対して開示することができる」を英文にすると、以下のようになります。

 

The Receiving Party may disclose the Confidential Information to its directors, officers, employees, external financial or legal advisors.

 

ここで、よくあるのが、開示できる者の中に、子会社や下請け会社を追記する場合です。

 

その場合には、上記の最後に、特定の子会社や下請けの名前を入れることでよいと思います。

 

この点、広く、「子会社一般(subsidiary)」や「下請け会社一般(subcontractorやsub-supplier等)」を入れたい、という場合もあるかと思います。しかし、情報開示者としては、自分の秘密情報が広まるのはなるべく避けたいと考えるはずです。そのため、「個別の会社名を追記することにしてもらえないか?」と言われることが多いと思います。

 

 

ここまでで、下の黄色部分を英文にする話を終えました。

 

情報受領者は、(i)本契約に定められた目的の遂行のために秘密情報を知る必要があり、かつ(ii)本契約に定められた秘密保持義務以上の秘密保持義務を契約書またはその他のものによって課された自社の取締役、執行役、従業員、外部の財務・法律アドバイザーに対して、秘密情報を開示することができる。

 

 

目的を遂行するために知る必要がある者

 

引き続き、上記の(i)の部分についてお話しします。

 

ここは、秘密情報の開示対象である「自社の取締役、執行役、従業員、外部の財務・法律アドバイザー」を修飾する部分です。

 

「秘密情報を知る必要のある」は、関係代名詞を用いて、次のように表せます。

 

who need to know the Confidential Information

 

次に、「本契約に定められた目的の遂行のために」は、次の通りです。

 

to carry out the Purpose

または

to conduct the Purpose

 

ここで、「目的を果たすために必要」となる主体は「情報受領者」である点を明示するために、

in order for the Receiving Party to carry out the Purpose

とすることもできますね。

 

というわけで、「本契約に定められた目的の遂行のために知る必要のある(取締役等)」を英文にすると、次のようになります。

 

who need to know the Confidential Information in order for the Receiving Party to carry out the Purpose

 

 

ここまででできた英文をつなげてみましょう。

 

The Receiving Party may disclose the Confidential Information to its directors, officers, employees, external financial or legal advisors who (i) need to know the Confidential Information in order for the Receiving Party to carry out the Purpose.

 

これで、あとは以下の白い部分である(ii)を残すのみとなりました。

 

情報受領者は、(i)本契約に定められた目的の遂行のために秘密情報を知る必要がありかつ(ii)本契約に定められた秘密保持義務以上の秘密保持義務を契約書またはその他のものによって課された自社の取締役、執行役、従業員、外部の財務・法律アドバイザーに対して、秘密情報を開示することができる。

 

続きは、次回お話しします!

 

お知らせ

無料メルマガ・ブログ活用目的にあったサイトマップ配信を開始しました!

右のサイドバーの中にある無料メルマガ申込をしていただいた方には、英文契約やその他の最新記事がブログにアップされたときにメールでお知らせ致します。

なお、無料メルマガにご登録いただいた方の中で、「全くの初歩から英文契約書を読めるようになるためにこのブログを使って勉強したい!活用したい!」と思っていただけている方には、ご参考として、このブログをどのように読み進めていくのを効率的かをまとめたものを無料で送付させていただきますので、サイドバーの無料メルマガ登録フォームの中の「ブログの活用目的」の欄に、「初歩から英文契約を学ぶため」と記載して申請してください。

それ以外の目的でこのブログを活用しようとされている方にも、その活用目的を教えていただければ、その目的に合ったブログ内の記事の読み進め方をまとめて無料で送付させていただきますので、同じく、サイドバーの無料メルマガ登録フォームの中の「ブログの活用目的」の欄に、その目的をご記入ください。

 

英文の秘密保持契約の解説の目次

英文の秘密保持契約の解説①~サクッと全体像をつかむ!~

英文の秘密保持契約の解説②~秘密情報の秘密の保護と管理について~

英文の秘密保持契約の解説③~秘密情報に関する保証・権利・返還について~

英文の秘密保持契約の解説④~秘密保持契約の有効期間について~

英文の秘密保持契約の解説⑤~「秘密の保持」について~

英文の秘密保持契約の解説⑥~「第三者への開示の禁止」について~

英文の秘密保持契約の解説⑦~「目的外使用の禁止」について~

英文の秘密保持契約の解説⑧~受領した秘密情報を開示してよい範囲はどこまで?(その①)~

英文の秘密保持契約の解説⑨~受領した秘密情報を開示してよい範囲はどこまで?(その②)~

英文の秘密保持契約の解説⑩ 情報受領者の情報管理義務について

英文の秘密保持契約の解説⑪ 情報開示者による差止請求

英文の秘密保持契約の解説⑫ 秘密情報の「現状渡し」と「無保証」について

英文の秘密保持契約の解説⑬ 秘密情報に関する権利の留保について

英文の秘密保持契約の解説⑭ 秘密情報の返却・破棄について

英文の秘密保持契約の解説⑮ 秘密保持契約における定義条項について

 

 - 英文の秘密保持契約の解説