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交渉方法を学びたい方へ

      2017/02/05

 

 

「契約交渉って、どのように行うのがよいのでしょうか?コツとかあるのでしょうか?これについて書かれた良い本はありますか?」

 

このようなことを聞かれることがあります。

 

私は法務部として、国内海外問わず交渉に参加したことがあります。なので、私も「交渉ってどのように望むのがよいのだろうか」と思ったことはあります。そんな中、私が数年前に偶然見つけた「これが交渉というものだ」ということを強烈に示してくれた本がありますので、今日はそれをご紹介させていただきたいと思います。

 

 

新潮文庫の「ポーツマスの旗」というタイトルの、吉村昭氏によって書かれた小説があります。

 

これは、その名からもわかるように、1905年に日本とロシアとの間で締結されたポーツマス講和条約について、日本海海戦での日本の勝利後から条約締結の経緯とその影響をつづったものです。

 

日露戦争についての最も有名な小説といえば、おそらく、司馬遼太郎の「坂の上の雲」でしょう。また、これがNHKで映像化されたのは記憶にも新しいでしょう。

 

その「坂の上の雲」では、ポーツマス条約については以下のように、ほんの数行しか触れられていません。

 

「会場は米国のポーツマスであった。8月10日より両国が正式会談に入り、9月5日講和条約が調印され、・・・さらに講和条約は10月14日に批准された。」

 

この、「坂の上の雲」ではほんの数行しか扱われていない出来事を、「ポーツマスの旗」では約400ページ以上を費やしてつづっています。

 

ここで、「ポーツマス条約」について、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

 

私が中学生の時に初めてこのあたりの時代を学校で学んだ時にまず思ったのは、以下のようなものでした。

 

「1894年の日清戦争後の下関講和条約では、日本は莫大な賠償金と多くの土地を清国から勝ち取ったのに、どうして日露戦争では、日本が陸でも海でも勝利したのに、樺太の南半分の割譲だけしか得られず、さらに賠償金が1円もないのだろう?当時の日本政府や小村寿太郎は交渉が下手で負けたのかな・・・?」

 

実際、当時の日本人は、ポーツマス条約の内容を知るや、日比谷公園で集会を開き、その後大規模な暴動に発展し、市内の警察署、巡査派出所は大々的に焼打ちにあいます。さらには、ポーツマス条約の日本側の全権大使であった小村寿太郎の官邸をも取り囲み、その妻および子供は生命の危険にさらされます。

 

また、ポーツマス条約の内容を支持した唯一の新聞社である「国民新聞社」は、群衆から一斉に投石される等の破壊活動の対象となりました。

 

それだけ、当時の多くの日本人にとっても納得のいかない条約だったということの現れでしょう。

 

しかし、今となってはご存じの方も多いと思いますが、本当のところは、日本海海戦終了時点で、日本はロシアに対して決して有利な立場にありませんでした。具体的には以下のような事情がありました。

 

①     陸戦で度々勝利したとはいっても、戦場はロシアではなかったため、日本軍はロシアの領土を1センチも奪ってはいない。

 

②      奉天の大会戦後、日本の陸戦向けの戦力はほぼ底をついており、これ以上ロシアに攻撃を加えることはできない状態であった。

 

③      一方、ロシアは、陸戦で日本軍に幾度も退却を強いられていたとはいえ、本国に未だ多くの兵員を有しており、鉄道を使って、それらの戦場への輸送を容易にできる体制が整えられていた。

 

そしてロシアの皇帝ニコライ2世およびその幹部らは、日本にこれ以上戦争を継続する力がほとんどないことを知っていました。ニコライ2世はロシア側の全権大使に次のように伝えます。

 

「一握りの地も1ルーブルの金も日本に与えてはならぬ。誰がどのような勧告をしても、私を一歩も譲歩させることは出来ない。」

 

米国のルーズベルト大統領の呼びかけで始まったポーツマスでの講和に向けた両国の協議では、日本側がロシアの土地の割譲および賠償金の支払いを求めたために、あやうく途中で決裂しそうになります。そこで日本政府は、もう戦争を継続する力がないので、土地の割譲も賠償金も諦め、とにかく講和を結ぼうとする瞬間がありました。

 

しかし、結果的には、日本はロシア領の樺太の南半分の割譲を得ることに成功します。

 

 

ロシアを含めたヨーロッパ各国は、はるか昔から互いに国境を接しており、それだけ外交の歴史は長く、経験豊かで、それと比較すると明治維新後30年ほどしか外国と接していない日本の外交の歴史は極めて浅く未熟でした。そんな中、小村寿太郎が講和条約締結に向けた交渉に際して基本方針として貫こうと決めていたのは、「誠実さ」だったと「ポーツマスの旗」には書いてあります(228ページ目)。

 

また、講和条約締結後に、講和条約の内容に不満を持つ人々による暴動が東京で起きていることをロシア人から伝えられた小村は、表情も変えずにこう答えたとあります。

 

「私は、本国の多くの人々から非難を受けることを覚悟していた。だれにしてもすべての人々を満足させることはできないものだ。私は、自分の責任を果たしたことに満足している。」(344ページ目)

 

その他、実際の講和条約文言の協議や、日露の全権大使らと彼らの本国政府間のやり取りについての記載は、これまで交渉をされたことがある方であれば、「あー、こんなことあるある」と思って共感できる場面もあるでしょうし、交渉の実経験がない方にとっては、「交渉って具体的にはこういうものなのか・・・」というイメージを持っていただけるものと思います。

 

そして、どのように小村寿太郎が交渉をしたのか、彼が貫いた外交における「誠実さ」とは何か、彼の果たした責任とは何かを知ることで、海外との取引先との交渉の際のヒントが得られるかもしれません。

 

交渉にご興味があれば、ぜひ。

 

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