小さな一勝の力

      2016/12/02

功山寺挙兵

 

これをご存知の方は、幕末の歴史にかなり興味を持たれている方だと思います。

 

幕末に、現在の山口県にあたる当時の長州藩を幕府が討伐しようとていた時期、幕府の要求を全て受け入れようとする長州藩内の俗論派を倒すべく、高杉晋作が少人数で決起し、結果として勝利し、その後の明治維新へとつながっていく挙兵です。

 

高杉晋作の功山寺挙兵の決起の呼びかけの際に、真っ先に賛同して一緒に戦ったのが伊藤博文でしたが、それでも人数は合計して80人ほどでした。

 

まだまだ勝利を得るには全く十分とは言えない勢力です。

 

しかし、結果的には、この時の高杉・伊藤の決起の結果、長州藩の俗論派は一掃され、この決起は成功します。

 

少数での決起

どうしてこのような少人数での決起が成功したのでしょうか?

 

高杉は決起してすぐに、佐幕派の大多数の軍勢に攻撃を仕掛けたわけではありません。まずは、佐幕派がもっている食料と武器を抑えようとします。そして、その比較的小規模な作戦に成功し、食料庫を抑え、武器を奪います。軍艦も奪取します。

 

小規模ではあるものの、作戦が成功したことが、長州藩内で決起を渋っていた者達に伝わりました。すると、それを聞いた者達が、徐々に高杉の味方になっていったのです。

 

高杉の成功を現実に知らされ、突き付けられ、彼らはこう思ったことでしょう。

 

「高杉の決起は成功するかもしれない。勝てるかもしれない」と。

 

そうして味方に加わった者の中には、明治になって日露戦争で参謀総長になる山縣有朋も含まれています。彼のような人も決起への参加を渋っていたというのは意外ですよね。

 

味方は徐々にその数を増やし、いつのまにか大勢になり、その結果、高杉と伊藤の決起は成功へと導かれました。

 

初めは小さな勝利

 

歴史を見てみると、この高杉の決起の場合と同様に、初めは少数で戦っていたのが、小さな勝利を重ねていくうちに味方の数を増やしていったという事例は他にもあります。

 

例えば、源氏と平家の戦いの際には、途中までは西国の多くの武将たちは源氏よりも平家に味方する方が多かったそうです。しかし、屋島の戦いという戦において、源義経の奇襲攻撃により屋島を捨てて海に逃げ、その後下関まで逃走した平家をみた西国の武将たちは、もはや源氏に勢いがあると思ったのか、最後の壇ノ浦の戦いの際には、平家をはるかに上回る数の兵が源氏のもとに駆けつけます。その結果、平家は壇ノ浦で滅ぼされます。

 

また、幕末に幕府が長州藩を討伐するために、長州藩まで攻め込んできたことがあります。これは第二次長州征伐と呼ばれています。このとき、様々な藩が幕府軍として長州藩と戦いましたが、長州藩はこの幕府軍とよく戦い、最後は幕府軍を退けます。この結果、もはや幕府の武力はおそれるに足らず、と思った有力諸藩が長州藩の味方になり、戊辰戦争へと突入します。その際、薩摩、長州、土佐、佐賀が主力となり、遂に幕府軍は、函館の五稜郭の戦いを最後に倒されます。

 

また、織田信長の天下統一事業もこの類のものかもしれません。最初は尾張一国の主に過ぎなかった信長が、駿河の今川義元を破り、その後、徐々に勢力を広げていく中で、信長の下についていく者達が増えていきます。

 

上記は、どれも最初はたった一つの勝利に過ぎませんでした。

 

しかしその一つの勝利が、周りの日和見主義の者達の心に、「もしかしたら、勝てるのかもしれない。いや、今味方に付かないと、損をするぞ」という気持ちにさせることになったのではないでしょうか。

 

会社でもある? 

 

これと似たようなことは、会社でもあるように思います。

 

例えば、発足当初は、うまくいくかどうかよくわからない事業・プロジェクトがあるとします。

 

それに関わる人数も少ないとします。

 

しかし、一つ、また一つと成果を上げていくうちに、多くの人の注目を集め出し、いつの間にか、その部署・プロジェクトに関わりたい!という人達が増えてくる。そうして、いつの間にかビックプロジェクトになっていった、なんてことが皆さんの会社の中にもあるのではないでしょうか。

 

まずは一勝

 

思えば、どんなものも、最初は小さなものなのかもしれません。

 

しかし、局所戦で勝つ、または、小さな成功を得ることで、徐々に味方してくれる人やファンが出てきて、やがては大きな勢いになっていくのではないでしょうか。

 

人生は、一度負けただけでは人生は終わらないし、逆に勝った場合でも、同じく人生は続いていきます。

 

そんな長い人生の中で、できれば大きな成功を掴みたいと誰もが思うことでしょう。

 

しかし、いざ「大きな成功」を思い浮かべると、その大きさに途方に暮れてしまいます。勝負しなくてもいいかな、現状維持でもいいかな、そんな風にも思ってしまいます。

 

でも、私たちが大きな成功を得るためにしなければならないのは、きっと、まずは目の前の勝負に勝つことです。たとえ小さな勝利でも、それを積み重ねていくことで、いつしか大きなことを成し遂げられるだけの体制が整ってくる、そんなことを高杉の決起の成功からは感じます。

 

身近なところで一勝。

 

まずは、それを目指してみませんか?

 - 歴史上の人物・出来事から学んだこと